RealtimeKit では、動画解像度、サイマルキャスト(simulcast)、フレームレートを設定して、品質と帯域幅のバランスを取ります。適切な設定は、グリッドレイアウト、参加者数、用途によって変わります。
動画解像度は、帯域幅と CPU 使用量に直結します。表示タイルに必要な解像度より高く送ると、アップロード帯域と、受信側すべてのデコード資源を無駄にします。
各参加者タイプが見るレイアウトに合わせて、preset で動画解像度を設定します。
各参加者が画面の大部分を占めます。デフォルトは 1280×720(720p)にします。視覚的な細部が重要な用途(コーチング、デザインレビュー、遠隔相談)では 1920×1080(1080p)を使います。
1対1の通話では simulcast をオフにします。受信側が1人だけなので、複数レイヤーをエンコードしても CPU コストが増えるだけで得はありません。
1対1の通話では、各参加者が1本のストリームをアップロードし、1本のストリームをダウンロードします。アップロード帯域とダウンロード帯域は同じです。
次の表は、1対1の通話で 24 FPS の場合の、参加者あたりの帯域幅と1時間あたりのデータ転送量です。
| 解像度 | ビットレート(アップロード = ダウンロード) | 1時間あたりのアップロード | 1時間あたりのダウンロード |
|---|---|---|---|
1280×720(720p) |
1.5–6 Mbps | 675 MB–2.7 GB | 675 MB–2.7 GB |
1920×1080(1080p) |
3.5–14 Mbps | 1.6–6.3 GB | 1.6–6.3 GB |
スピーカーが1人または2人で中心になる場合は、解像度を上げます。基準は 1920×1080(1080p)です。ホストのアップロード帯域が十分で、高精細が活きるコンテンツ(製品紹介、スタジオインタビュー、ライブ制作)では 3840×2160(4K)を使います。
simulcast をオンにすると、帯域が限られたネットワークの視聴者は、自動的に下位レイヤーを受け取ります。
次の表は、24 FPS の場合の、送信側あたりのアップロード帯域と1時間あたりのデータ転送量です。
| 解像度 | 送信側のアップロードビットレート | 送信側の1時間あたりのアップロード |
|---|---|---|
1920×1080(1080p) |
3.5–14 Mbps | 1.6–6.3 GB |
3840×2160(4K) |
14–56 Mbps | 6.3–25.2 GB |
各視聴者は1本のストリームをダウンロードします。ダウンロードビットレートは送信側のアップロードビットレートと同じです。視聴者のネットワークが厳しい場合は、より低い simulcast レイヤーになります。
3×3 グリッドでは、各タイルは画面幅のおよそ3分の1です。simulcast をオンにし、送信解像度は 640×480(480p)にします。
各参加者は1本のストリームをアップロードし、ほかの参加者から8本のストリームをダウンロードします。次の表は、24 FPS の場合の、参加者あたりの帯域幅と1時間あたりのデータ転送量です。
| 解像度 | アップロードビットレート(1ストリーム) | 1時間あたりのアップロード | ダウンロードビットレート(8ストリーム) | 1時間あたりのダウンロード |
|---|---|---|---|---|
640×480(480p) |
500 Kbps–2 Mbps | 225–900 MB | 4–16 Mbps | 1.8–7.2 GB |
表示タイルが16以上になると、各タイルは小さくなります。送信解像度は 320×240(240p)にし、simulcast をオンにします。
各参加者は1本のストリームをアップロードし、ほかの参加者それぞれから1本ずつダウンロードします。次の表は、4×4 グリッド(参加者16人、受信ストリーム15本)で 24 FPS の場合の、参加者あたりの帯域幅です。
| 解像度 | アップロードビットレート(1ストリーム) | 1時間あたりのアップロード | ダウンロードビットレート(15ストリーム) | 1時間あたりのダウンロード |
|---|---|---|---|---|
320×240(240p) |
130–520 Kbps | 58–234 MB | 1.9–7.8 Mbps | 870 MB–3.5 GB |
640×480(480p) |
500 Kbps–2 Mbps | 225–900 MB | 7.5–30 Mbps | 3.4–13.5 GB |
1280×720(720p) |
1.5–6 Mbps | 675 MB–2.7 GB | 22.5–90 Mbps | 10.1–40.5 GB |
1920×1080(1080p) |
3.5–14 Mbps | 1.6–6.3 GB | 52.5–210 Mbps | 23.6–94.5 GB |
320×240 では、各参加者に必要なダウンロードは 2–8 Mbps です。下限ならモバイル回線でも現実的です。同じグリッドを 1920×1080 にすると、ダウンロードは 52–210 Mbps になり、一般的な宅内回線を超えます。
全員が動画を送りつつ、スピーカー1人を大きめにピン留めするレイアウト(タウンホール、教室、チームのスタンドアップ)では、役割ごとに別の preset を使います。
スピーカータイルは大きく、高画質の効果が大きいので、スピーカー用 preset の解像度は 1280×720 または 1920×1080 にします。参加者タイルは小さいサムネイルなので、参加者用 preset の解像度は 320×240 にします。
次の表は、スピーカー1人が 720p、参加者15人が 240p、全員 24 FPS で動画を送るタウンホールの帯域幅です。
| 役割 | アップロードビットレート | 1時間あたりのアップロード | ダウンロードビットレート | 1時間あたりのダウンロード |
|---|---|---|---|---|
| スピーカー(720p を1本送信し、240p を15本受信) | 1.5–6 Mbps | 675 MB–2.7 GB | 1.9–7.8 Mbps | 870 MB–3.5 GB |
| 参加者(240p を1本送信し、720p を1本と 240p を14本受信) | 130–520 Kbps | 58–234 MB | 3.3–13.3 Mbps | 1.5–6 GB |
ウェビナーでは、視聴者はステージに招かれない限り、音声も動画も送りません。ストリームをアップロードするのはスピーカーだけです。スピーカーには高解像度の preset、視聴者には閲覧専用の preset を使います。
次の例は、スピーカー1人が 720p、閲覧のみの視聴者が15人、全員 24 FPS のウェビナーです。
| 役割 | アップロードビットレート | 1時間あたりのアップロード | ダウンロードビットレート | 1時間あたりのダウンロード |
|---|---|---|---|---|
| スピーカー(720p を1本送信。ステージ上のほかの参加者はなし) | 1.5–6 Mbps | 675 MB–2.7 GB | 0 | 0 |
| 視聴者(閲覧のみ。720p を1本受信) | 0 | 0 | 1.5–6 Mbps | 675 MB–2.7 GB |
simulcast は、送信側の動画を複数の解像度(例: 720p、360p、180p)で同時にエンコードします。SFU は、利用可能な帯域とタイルサイズに応じて、受信側ごとに最適なレイヤーを選びます。
次の場合は simulcast をオンにします。
- 参加者が3人以上のセッション
- 参加者のネットワーク条件がばらつく場合(モバイルとデスクトップの混在)
- 帯域が限られたネットワーク上の視聴者がいるウェビナーやイベント
1対1の通話(受信側が1人で、複数レイヤーの利点がない)と、音声のみのセッションでは simulcast をオフ にします。
simulcast は複数レイヤーをエンコードするため、送信側の CPU 使用量が増えます。遠隔地の低スペック端末と限られた帯域が対象なら、simulcast をオフにして、全員を 320×240 のような単一の低い解像度にする方法もあります。追加のエンコードコストを避けつつ、帯域も低く保てます。端末性能とネットワーク条件が混在するセッションでは、SFU が受信側ごとに適切なレイヤーを届けるため、simulcast が最もよい体験になります。
フレームレート(FPS)は帯域幅にそのまま比例します。同じ解像度でフレームレートを2倍にすると、必要なビットレートもおよそ2倍になります。用途を満たす範囲で、いちばん低いフレームレートを選びます。
| FPS | 帯域幅への影響 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| 15 FPS | 最小 | スライド発表、静止に近い画面共有、監視映像 |
| 24 FPS | 中程度 | 通常のビデオ通話、ウェビナー、オンライン授業、遠隔医療 |
| 30 FPS | 高め | 双方向のワークショップ、製品のライブデモ、フィットネス教室 |
| 60 FPS | 最大(30 FPS の約2倍) | スポーツ中継、リアルタイムの音楽演奏、eスポーツ |
- 教育: 講義の画面共有は 15 FPS、講師カメラは 24 FPS にします。モバイル回線の受講者は、帯域が低いほど助かります。
- ヘルスケア: 遠隔医療の相談は 24 FPS にします。会話中心の動画では、より高いフレームレートの効果はほとんどありません。
- フィットネスとウェルネス: ライブのワークアウトは 30 FPS にします。身体の動きを追うには、滑らかさが必要です。
- メディアとエンターテインメント: 動きの明瞭さが重要なライブ演奏やスポーツの同時視聴では 60 FPS にします。
- 社内会議: 全社会議とスタンドアップは 24 FPS にします。話し手中心の動画は、高いフレームレートの恩恵を受けません。
- カスタマーサポート: 画面共有が中心のサポートは 15 FPS にします。帯域を抑えると、顧客側のフレーム落ちが減ります。
解像度とフレームレートは掛け合わさります。次の表は、4×4 グリッド(受信ストリーム15本)で、組み合わせごとの参加者あたりの帯域幅です。
| 構成 | アップロードビットレート | 1時間あたりのアップロード | ダウンロードビットレート(15ストリーム) | 1時間あたりのダウンロード |
|---|---|---|---|---|
| 720p / 30 FPS | 1.9–8 Mbps | 855 MB–3.6 GB | 29–116 Mbps | 13–52.2 GB |
| 480p / 24 FPS | 500 Kbps–2 Mbps | 225–900 MB | 7.5–30 Mbps | 3.4–13.5 GB |
| 240p / 15 FPS | 80–320 Kbps | 36–144 MB | 1.2–4.8 Mbps | 540 MB–2.2 GB |
仮想教室や全社会議のような大規模グリッドでは、320×240 / 15 FPS と simulcast の組み合わせで、動きの多いコンテンツでも、参加者あたりの合計ダウンロード帯域を 5 Mbps 未満に抑えられます。
| 用途 | 解像度 | simulcast | FPS | 補足 |
|---|---|---|---|---|
| 1対1の通話 | 720p–1080p | オフ | 24–30 | アップロードとダウンロードは同じ(それぞれ1ストリーム) |
| ポッドキャストまたは配信 | 1080p–4K | オン | 24–30 | ホストのアップロードが 4K(14–56 Mbps)に対応しているか確認する |
| 3×3 グループ通話 | 480p | オン | 24 | 参加者あたりアップロード 500 Kbps–2 Mbps、ダウンロード 4–16 Mbps |
| 4×4 以上の大規模グリッド | 240p | オン | 15–24 | 参加者あたりアップロード 130–520 Kbps、ダウンロード 2–8 Mbps |
| ピン留めスピーカー + ギャラリー | スピーカー 720p–1080p、参加者 240p | オン | 24 | 全員が動画を送る。役割ごとに別の preset を使う |
| ウェビナー | スピーカー 720p–1080p、視聴者は閲覧のみ | オン | 24 | 視聴者はステージに招かれない限りアップロードしない |
| 画面共有 | ソース解像度 | オフ | 15 | 静止に近いコンテンツなら低い FPS で十分 |
preset の設定方法は、Presets を参照してください。