規模の大小を問わず、いちばん難しいのは、お客様が 本当に 何を言っているかを把握することです。Cloudflare では、毎日大量のお客様フィードバックを集めています。このフィードバックは洞察の宝庫ですが、何十もの別々の公開チャネルに分散しています。Cloudflare コミュニティフォーラム、Reddit、X(旧 Twitter)、GitHub、Discord、HackerNews などです。
個々の投稿は逸話です。まとまると戦略的な資産になります。問題は、データセットが大きすぎて、製品、コンテンツ、デザインの洞察を人手で処理できないことです。整理されていない大量のフィードバックは、部門横断の傾向を見る機会として、十分に活かされていませんでした。
この課題を解くために、ユーザーの声を増幅する社内ツール CloudSpeaker を作りました。目的は、時間を節約し、効率を上げ、これらの外部コミュニティからの公開フィードバックを 1 つの統一ビューにまとめることです。
CloudSpeaker は、プロダクトマネージャーやエンジニアからユーザーエクスペリエンスチームまで、Cloudflare のあらゆる関係者が、担当する製品や機能の温度感をすばやく把握できるように設計しました。
ツールでは、次を確認できます。
- 多数のチャネルから集めた製品フィードバックの統合ビュー
- 繰り返し発生する問題とお客様の困りごと
- 製品に対する全体的なセンチメントの推移
この統合ビューは、いま計画サイクルの重要な一部です。ユーザーリサーチやペルソナ作成から、機能リクエスト、四半期のバックログ優先順位付けまで、幅広く判断材料になります。
CloudSpeaker は、すべて自社製品の上に構築しています。ただし本当の強みは、Data Intelligence チームが運用する AI 駆動のデータパイプラインにあります。
仕組みは次のとおりです。
- 取り込み(Ingestion): 毎日、各種公開ソースから新しいコミュニティコンテンツをパイプラインが取り込みます。
- AI 分類: この新しい非構造化コンテンツを AI Content Pipeline に投入します。Workers AI 経由の大規模言語モデル(LLM)で、投稿を 1 件ずつ自動分類します。各投稿には、次の 3 つの情報をタグ付けします。
- 言及されている製品: 議論されている Cloudflare 製品(60 以上)を特定します。
- センチメント: モデルがテキストを分析し、ユーザーのセンチメントを
negativeからneutral、positiveまでのスペクトルで分類します。 - 投稿タイプ: 投稿の意図を分類します。例:
help request、feature request、bug report。
- 保存と表示: AI の推論が終わると、新しい分類結果を D1 データベースに保存し、CloudSpeaker の UI で閲覧できるようになります。
バックエンドの分類パイプラインが、人手処理の問題を解きます。フロントエンドアプリケーションが、アクセスしやすさの問題を解きます。
CloudSpeaker のダッシュボードでは、プロダクトマネージャーが最大 6 か月分のデータセット全体を、製品、センチメント、投稿タイプ、日付範囲の任意の組み合わせで絞り込めます。特定製品について、前四半期の negative センチメントかつ feature requests の投稿だけを見たい場合も、数秒で表示できます。
さらに、UI に 2 層目の AI を直接入れました。コメントを絞り込んだあと、Summarize ボタンを選べます。Workers AI が、表示中のコメントをその場で要約し、定量データの質的な概観をすぐ示します。
CloudSpeaker は、コンテンツを生成するためではなく、ユーザーが毎日生み出す膨大なコンテンツを分析し、構造化するために AI を使う、強力な事例です。かつては人手では不可能だった作業を、自動化された、行動につながる洞察の重要な源泉に変えます。